2013年4月29日月曜日

【管理人の独り言】デジタル四方山話〔2〕 -スマホの巻-

  
 昨年(2012年)秋からK社製のスマートフォンを使用している。フルブラウザーによるWebの閲覧やEメールのチェック、写真の撮影、記事の執筆など、何かと便利に使用している。過去に愛用したシグマリオンと比較しても、格段に便利な道具である。

 と言うわけで、私なりには不満は無かったのだが、OSであるアンドロイドがバージョン2.3(旧モデル)であったことから、製造メーカーであるK社がOSのバージョンアップを実施した。間のバージョンをすっ飛ばして、この4月11日から一気に4.1へのメジャーアップデートである。

 まあ過去の経験からして、こういった新バージョンを慌てて導入するとろくなことは無い。往々にして初期不良があり、トラブルに見舞われるのが落ちである。

 だが、…。わかっていても最新版が欲しくなるのが、人の性(さが)である。「もしかすると失敗するかも知れない。」と思いつつ、K社がアップデート情報を公開した4月11日の深夜、無線LANでデータのダウンロードを開始した。待つこと約1時間、わがスマホがアンドロイド4.1へメジャーアップデートされた。「うおぉぉ、ヌルヌルだがサクサクと画面が切り替わる!」「これが4.1なのか!」と、年甲斐も無く深夜に大興奮してしまった。

 ところが(というか、「やはり」というべきか)、携帯メールソフトが正常に動作しない。危惧された不具合の発生である。何度再起動しても、電池を一旦外して強制的にリセットしても、まったく改善されない。心配になってPCで検索してみると、同じ症状で苦しんでいるユーザーの苦情が次々と見つかり、「あぁぁぁ、やっちまった!」と自己嫌悪に陥ってしまった。けっしてメーカのK社を恨んではいない。「たぶん、初期にはトラブルがあるだろう」と予測したにもかかわらず、それを軽視した自分自身が情けないのである。

 結局、その夜はメールソフトの不具合は何ら解決せず、眠れぬ夜を過ごすこととなった。とほほ。

 翌日は朝から仕事であったが、午後、所用で仕事を早退したため、思い切って自宅からK社のコールセンターへ相談の電話をかけてみた。正直、あまり期待せずに電話をしたのだが、結果は思いがけないものであった。

 事前の予想としては、音声ガイダンスに従いながら電話番号を押して担当部署へ繋ぎ、女性オペレーターがマニュアルを見ながら「その不具合については、ただ今お調べしております」と回答するイメージで電話をかけたのだが、それはまったく違っていた(良い意味で裏切られた)。

 K社へ電話をかけてみると、音声ガイダンスも無く、「はいはい、どうしましたか?」と年配の男性の声(これには内心とても驚いた)。コールセンター的なざわつきも、臨席で鳴る電話の音も無く、なんだか研究所の一室で技術者が直接電話に出たような雰囲気であった。「あの~、アップデートしたら不具合が発生したのですが、…。」と、私なりに精一杯事情を説明すると、「は~ん、なるほど。」と、実に落ち着いた声(まるで、すべてを知っているかのような落ち着いた声)。「では、対象機種をお持ちになってください。まず、☆◆※△◇…。」と、操作が的確に指示され、そして携帯メールソフトは復旧した。パーフェクトである。ありがたい。

 結論としては、携帯メールソフト内部にキャッシュ(過去のデータ)が残存していると、アップデートが正常に完了しないという事象で、キャッシュの消去で無事復旧したのだが、同時に過去のメール履歴が消滅するという残念な面もあった。事前にこの点を承知していれば、履歴のバックアップを作成できたので、少々悔やまれる(まぁ、実害はほとんど無いが)。

 いずれにせよ、「不惑の歳」(40歳)をとうに過ぎたのに、新しもの好きで一喜一憂する自分を省みて、なんとも滑稽なのである。

(当ホームページ管理人 松下師一)


 

2013年4月22日月曜日

【管理人の独り言】第35回公開研究大会「土地に刻まれた阿波の歴史」

  
  先月(2013年3月)3日(日)の午後、文化の森の多目的活動室を会場に、徳島地方史研究会の「第35回公開研究大会」が開催されました。


  大会テーマは「土地に刻まれた阿波の歴史」で、平井松午(徳島大学総合科学部)・徳野隆(徳島地方史研究会代表/徳島県立文書館)・松下師一(松茂町歴史民俗資料館・人形浄瑠璃芝居資料館)の3名が研究報告を行い、小休の後にパネルディスカッションで討議を行いました。


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  報告の最初は、平井松午氏の「吉野川の洪水遺産 ― 舞中島 ―」です。パワーポイントによるわかりやすい情報提示で、近世・近代から現代に至る舞中島(吉野川中流域の川中島)の変化が紹介されました。


  2人目の報告者は徳野隆代表で、 「新田開発・地震・再開発 ― 和田津新田の場合 ―」と題して、小松島市和田津新田の開発史(主に近世史)が紹介されました。


  最後(3人目)の報告者が当ホームページの管理人である私(松下師一)で、 「災害史にみる民衆生活の変貌 ― 災害後の産業構造の推移 ―」と題して、松茂町域の戦後農業史を災害との関連から分析してみました。なお、報告していましたので、写真がありません。

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  報告の後、小休を挟んで、当会研究委員長・石尾和仁氏(徳島県立鳥居龍蔵記念博物館)が司会を担当して、報告者3名によるパネルディスカッションが行われました。

  会場からの質問に答える形でディスカッションが進められ、様々な観点から阿波の開発史が議論されましたが、壇上にいた者の一人として、結局、「自然との“共生”とは何か?」が問われた研究大会であったと結論づけています。

(当ホームページ管理人 松下師一)

2013年4月8日月曜日

【管理人の独り言】デジタル四方山話〔1〕 -カメラの巻-

  
  近世・近代を研究対象にした地方史研究者にとって、写真を撮るの機会はたいへん多い。

  第一に研究対象である古文書は貴重品で、持ち出し不可であるため、写真で複製を作成することになる。近世・近代の古文書になるとその数量は膨大で、私が大学院生の頃などは、1日で500コマ撮りマイクロフィルムで1本半撮影などと、しゃかりきに撮影したものである。20年たった今は、カメラが重くて大型の平河製マイクロフィルムカメラから、軽量コンパクトなデジタルカメラに変わったものの、相変わらず1日に古文書を数100コマ撮影することがある。

  昨年夏も、「阿波学会」調査に参加し、東みよし町の古文書を1日に300コマほど撮影した。

  また、美術品や民具など、立体物を撮影する機会も多い。私は本職が小さな博物館(松茂町歴史民俗資料館・人形浄瑠璃芝居資料館)の学芸員なので、図版やパンフレットの作成等々、写真を撮るのも仕事の重要なテクニックである。

  別に学芸員にならずとも(高校・大学の先生や、民間の研究者であっても)、資料調査の過程で記録しておきたい書画・骨董に出会うと、普通に(ごく当然に)写真を撮影するであろう。立体物の撮影になると、背景・光線・露出などに注意し、1コマの撮影に長い時間をかけて行うことになる。

  結果、歴史研究者の少なからぬ人々が、カメラをはじめ撮影機材にこだわりを持つようになる。

  我が徳島地方史研究会においても、TK先生を筆頭に何名かの顔が思い浮かぶ。

  実は、私もそれに連なる1名で、マニアックな高級機は経済的に無理だが、安価な普及モデルでいろいろ試すのが大好きである。

  そんなこんなで、TK先生が某R社の高級コンパクトデジカメをベタ褒めしているのを聞き、ならばとR社の普及モデルをアマゾンで購入してみた。ここ10年あまり、古文書の撮影はバリアングルモニター仕様のC社のデジタルカメラを愛用しているので、今回購入のR社の普及モデルは、イベント記録など日常持ち歩くスナップ撮影用の位置づけである。

  ところがこのカメラ、なんともクセモノなのである。ホワイトバランスが不調で、室内で撮影すると色が赤く仕上がってしまう。メニュー画面から設定を色々いじっても全く改善されない。ついには「不良品か?」と諦めかけていたところ、“ふと”気がついた。

  「デジタルカメラももコンピュータープログラムで作動しているはずだから、もしかして修正プログラムが発表されているのでは?」

  予想はビンゴであった。R社のホームページには、我が愛機の修正プログラムが掲載されていた。やはり、ホワイトバランスに関する修正である。

  やれやれと胸をなで下ろしたのも束の間、すぐまた疑問が沸き上がった。通信機能を持たないデジカメのプログラムを、どうやって修正(アップデート)するのだろうか?

  ホームページで手順を確認すると、なるほど納得である。ホームページからパソコンに修正データをダウンロードし、そのデータをSDカードに移す、そしてそのカードをカメラに挿し込むと、修正プログラムが既存プログラムを上書きしてアップデートされる仕掛けである。

  無事アップデートを終えると、写真の出来栄えは見違えるようになった。ようやく納得の色である。

  やれやれ一件落着と言うべきところだが、それにしても不十分な状態でよくまあ販売に踏み切ったなぁと思う。「多少難があっても、1分1秒でも早く市場を押さえよう!」、つまりは「拙速は善」ということだろうが、正直、ユーザーとしてはあまりいい気がしない。

  我が執筆原稿も、ついつい締め切りに四苦八苦し、「どうせ校正で直せばいい」と、不十分なままに出稿した過去が思い出される。必ずしも「拙速は善」では無い。他山の石として、心したいものである。

(当ホームページ管理人 松下師一)